いじめを乗り越えて人生を幸せに生きるための方法

いじめ体験、その後遺症をどう乗り越えてきたか、人生を幸せに生き直すためのコツを紹介しています。

エゴとの対話 その1

今から心の話をわかりやすく伝えるために、
どんな人の心の中にも住んでいる『エゴ』という存在、
漫画で例えるなら悪魔として描かれる存在といじめられた少年の対話を紹介します。

 

このお話は、人が陥りやすい過ちや、
エゴが仕掛けてくる甘い罠について教えてくれます。
その点に注目してどうか読み進めて下さい。

 

エゴ:「おいっ、そこの少年、ちょっと俺と話さないか。お前がこれまで周りから散々いじめられてきた姿を傍でずっと見てきて胸が痛んだんだ。だから、こうやって俺はお前を助けてやりたいと思って現れたのさ。もう今日からは、あんな惨めな生活とはおさらばできるぞ。なぜなら、俺という一番の仲間が来たんだからな。」

 

少年:「君は僕を助けに来たの?」

 

エゴ:「そうさ、お前を助けられるのは俺しかいない。」

 

少年:「君は一体誰なの?」

 

エゴ:「残念ながら、俺の正体は明かせない。だが、お前にとって一番の理解者だということだけは言える。お前の目を通して俺は同じようにすべての出来事を見てきているからな。」

 

少年:「でも、一体どうやって僕を助けてくれるっていうの?」

 

エゴ:「それは、お前をいじめてきた奴らに復讐するのを手助けしてやるってことさ。」

 

少年:「でも、僕は弱いから復讐なんてできないよ。またやり返されて終わりだよ。」

 

エゴ:「そうさ。お前一人だったら何もできないだろうな。でも、俺ならお前にその力を与え、復讐する方法を教えてやれるぞ。」

 

少年:「でも、やっぱり復讐するなんて、僕には怖くてできないよ。」

 

エゴ:「そんなことを言って善人を気取っているから、お前はいつもやられてばかりなんだ。本当はあいつらが憎いんだろ?あいつらがお前にしてきたことを思えば、当然の報い、自業自得ってもんさ。やられたらやり返す、ただそれだけのことさ。なんにも悪いことじゃない。あいつらが悪人で、俺たちはそいつらを成敗するだけ。それはつまり、褒められることはあっても、裁かれることじゃない。これは正義なのさ。」

 

少年:「でも、なんだか君の言っていることが信用できないよ。」

 

エゴ:「じゃあ聞くが、お前がいじめられて苦しんでいた時、そこからお前を救ってくれた奴はいたか?誰一人いなかっただろう。そう、お前はいつも一人ぼっちだった。誰からも愛されず見捨てられていたお前を今俺は救ってやろうと話してるんだ。」

 

少年:「確かにそうだった。苦しい時、助けてほしいと叫んでも誰も僕を助けてくれなかった。そうさ、僕はきっと誰からも愛されていない存在なんだ…。」

 

エゴ:「そうだ、可哀想な少年よ。俺だけはお前を愛してやれるぞ。俺だけがお前を救ってやれる。もう俺が来たから何も心配することはない。」

 

少年:「じゃあ、僕はまず何をすればいいの?」

 

エゴ:「言い忘れていたが、俺はお前の心に住んではいるが肉体がない。だから、復讐する方法は教えられるが、俺には実際にその行動を起せない。だから、お前に俺の知恵を与えてやるには一つ条件がある。」

 

少年:「条件って何?」

 

エゴ:「ちょっとの間だけ、お前の肉体を貸してもらうってことさ。お前が俺にその肉体を使わせてくれるというのなら、俺の知恵を貸してやってもいいぞ。」

 

少年:「えっ、ちょっと待って。少し考えさせてよ。」

 

エゴ:「復讐すれば、お前が欲しかったものがすべて手に入るぞ。なぜためらうんだ?」

 

少年:「例えばどんなものが手に入るの?」

 

エゴ:「相手を傷つければ、自分の肉体的な力が強大だということを他者に見せつけられるぞ。そうすれば、いじめた奴らは、お前を恐れて二度と手出しはしなくなるだろうな。」

 

少年:「僕は別に暴力で相手を負かしたいとは思わないよ。」

 

エゴ:「じゃあ、復讐した後の爽快感はどうだ?欲しくないのか?お前を散々いじめてきた奴らに仕返しをするのは気持ちがいいぞ。」

 

少年:「そんな一時的な快楽なんか興味ない。僕はただ愛されたいだけなんだ。僕をいじめた相手に復讐しても、僕はきっと誰からも愛されない。むしろ、もっと憎まれる存在になるよ。」

 

エゴ:「じゃあ、仲間はどうだ?お前の強さを知ったら、おそらく弱い者たちはお前を恐れて、お前を崇めるようになる。自然とお前に付き従うことを望むようになるのさ。お前は誰かから尊敬されたくないのか?仲間が欲しくないのか?」

 

少年:「そんなの本当の仲間じゃないし、尊敬でもないよ。僕を恐れて、僕の家来みたいになるだって、なんてひどい話だ。僕は周りの人たちをそんな風にしたいなんて一度も思ったことはないよ。」

 

エゴ:「それなら、他者への貢献はどうだ?お前がいじめた奴らに復讐すれば、他者はお前の存在を認めてくれるぞ。お前のようにいじめられた人たちがいれば、そいつらに勇気を与えられる。やられたらやり返すことが正義だということを教えられるんだ。そして、そいつらは自分たちもやり返そうという気持ちになる。そしてお前は正義にヒーローになれるのさ。これは、他者への貢献という意味で、素晴らしいことじゃないか!」

 

少年:「そんなの正義じゃない!単なる独裁者の考えだよ。今、お前が言った話ですべての魂胆がわかったぞ。お前の言っていることは何一つ、正義でも誰にとっての救いでもない!」

 

エゴ:「俺様がこんなに優しく教えてやっても聞き入れられないなんて、お前は本当に馬鹿な奴だ。俺の条件を飲めないというなら、このままずっといじめられ続けるがいい。お前は一生誰からも愛されずこのまま苦しみ続けるんだな。」

 

少年:「僕はお前みたいな者なんかに愛されなくてもいい。お前は僕の弱みにつけこんで、嘘をつき騙そうとしていたんだ!お前の正体は、本当は僕の中に巣食うエゴなんだろ!」

 

エゴ:「フフフッ、よくも見破ったな。だが、俺は何度でも姿を変え、お前の目の前に現れるから覚えてろ!」

 

そう言い残すと、エゴは少年の前から束の間姿を消したのだった。

 

次回の「エゴとの対話 その2」でこのお話の解説をします。